世界一美しい霊廟といわれるタージ・マハル。ムガール帝国の皇帝が、亡くなった愛妃のために作ったもので、1653年の完成までに20年近くかかったといわれています。ムガール帝国はイスラムの国ですが、イスラム教やヒンドゥー教では墓を建てることはほとんどないだけでなく、皇帝のためでなく愛妃のために建てたという、そういう意味からもタージ・マハルは非常に珍しいものであると同時に、皇帝がいかに愛妃を愛していたかを示しているといっていいでしょう。
正面に立つと、タージ・マハルの建築物がすべて左右対称になっていることがわかります。それがこの廟の美しさをさらに増しているといっていいでしょう。少し離れたところから見ていると総大理石の建物は純白のまばゆさを湛えていますが、近づいて見てみると、ダイヤモンドや翡翠、水晶、トルコ石、サファイア、珊瑚など、全部で28種類もの宝石類が嵌め込まれているうえ、表面には精緻な彫刻が施されているのがわかります。計り知れないほどの費用がかかったに違いありません。
世界で最も美しいといわれるのは、見た目だけでなく、皇帝が愛妃に注いでいた愛情の深さにもあるのかもしれません。
このポスターは一般的なタージ・マハル正面からではなくヤムナー川側から望んだものです。当時この場所は広大な庭園で、ヤムナー川に映るタージ・マハルの左右対称(シンメトリー)の視覚効果も考えられています。