
フォトグラファー
写真を撮るときに「後ろがごちゃごちゃしてるからこっちで撮ろう」「こんなポーズをしてみて」「もっとあの建物に近づけないかな」と言いながら写真を撮影する人がいます。あなたもそうであるなら、もっといい写真が撮りたいと思っているなら、「被写体」について理解を深めることで、素晴らしい写真が撮影できるようになります。
被写体とは写真における主役であり、作品の創作の動機となるモチーフです。写真を撮るためには、まず被写体を選ぶことになります。その場の思いつきで決まることもあれば、何日も何週間もかけて、その対象物や人物をどのように表現するかを考えることもあります。

被写体はその場にあったもの、非日常的なもの、あるいは記憶に残しておきたいものなど、自分がインスピレーションを受けたものを被写体として選ぶことが多くなります。最初に決めて撮影することが多いですが、光を見つけてから被写体を決めることもありますし、光が当たっているものを被写体として選ぶこともあります。
抽象的な写真では、物の形や模様を注視します。抽象写真では、被写体が何であるかは問題ではなく、それが作り出す形やパターンが重要になるのです。被写体は必ずしもモノである必要はありません。
では主役となる被写体を選び、フォーカスするためのポイントをご紹介します。
被写体の配置
被写体をフレーム内のどこに置くかを決めることで、被写体がより注目されるようになります。被写体を中央に配置すると対称性や模様が強調されます。被写体を片側に配置すると視線が集まりやすくなります。動いている被写体の場合は、その方向に向かってフレーム内のスペースを空けてみましょう。
遠近感で被写体の形の変化を見る
被写体をどのような角度で撮影するかによって、その見え方が変わってきます。アングルを変えて、被写体の形がどう変わるか試してみましょう。カメラのレンズに近いところにあるものが一番大きく見えたり、被写体を見下ろして撮ると小さく見えたりと、被写体の大きさも変わって見えます。
光を探す
光は被写体の見え方に大きな影響を与えます。例えば、葉や花を逆光で撮影することで、シルエットを作って形を強調することもできます。正面からの照明は細部まで見えやすく、側面からの照明は影が強調されます。影を強調したライティングは、コントラストが強くドラマチックな印象を与え、影を薄くしたライティングは、ソフトでエレガントな印象を与えます。
被写体を見極める目を養う
さまざまな被写体を撮影すればするほど、何が良い被写体なのかが分かってきます。経験豊富なフォトグラファーは、素晴らしい照明、面白いパターン、ユニークな配置などを知っていて、それを被写体に適用させることができます。これは練習や撮影の数によって培われます。カメラを持って毎日散歩することをおススメします。
普通のものを普通でないように表現する
平凡な被写体でも、素晴らしい写真に撮れることがあります。それは、被写体は見せ方が重要ということです。アングル、照明、構図など、すべての要素が組み合わさって、普通の写真が素晴らしい写真になります。家庭用品など日常的な被写体をいつもと違う方法で撮影する練習をしてみましょう。
ストーリー性のある写真
人は芸術作品を見て物語を感じます。人の心は常に空白を埋めようとしています。写真の中で何かヒントを与え、ストーリーを語るように努力しましょう。数歩後ろに下がってより多くのものを見せてみましょう。設定が重要ではないなら、被写体に近づいて親しげな雰囲気を出してみましょう。人物を撮影するなら感情や行動が見えるような表情や仕草を探してみましょう。
周りの環境が重要
主役である被写体も重要ですが、フレーム内のすべての要素も重要です。背景と前景は、ストーリーを語るのに役立ちます。思いがけない場所にあるのか、いつもの場所にあるのか。それは単独であるのか、それとも雑多なものの中で目立つものなのか。そして、写真に写っているすべてのものをチェックします。そこに存在する理由がないものは、近づいたり、アングルを調整したりして、撮影されないようにしましょう。
インスピレーションになるもの
撮影者がなぜその被写体を撮ろうと思ったのか?という答えは、単にインスピレーションを受けたからです。写真は、あなたが世界をどのように見ているかを示す方法です。あなたにとって重要な人や物は、常に素晴らしい被写体となります。
被写体は「写真の本質」です。写真を撮るための要素は他にもたくさんありますが、いい被写体を選ぶこと、あるいは普通の被写体をいつもと違う方法で表現することは、素晴らしい写真を撮影するために不可欠なことです。被写体をじっくり見極めながら沢山の撮影にチャレンジしてみてください。