ヒュッゲという言葉を聞いたことはありませんか。デンマーク語やノルウェー語で「居心地がいい」とか「快適」などを表現するときの言葉です。日本ではインテリアの世界でよく使われるようになってきました。北欧文化といえばノルディック、すなわち北欧風という言葉で括られてしまいがちですが、ヒュッゲには生活様式に加えて人間性みたいなものもプラスされているように思えます。北欧文化を理解するには必要不可欠になります。
その前に、日本人と欧米人の大きな違いをまず知っておくといいかもしれません。それは光と色の感じ方の違いです。青い目の欧米人は、茶色い目の日本人より光に対して敏感です。彼らがよくサングラスを使用しているのは日本人より光がまぶしいからです。また、彼らの家庭に入ってみるとわかりますが、日本の家庭に慣れているとかなり薄暗く感じます。ディナーにキャンドルというのはそんな欧米人の習慣といっていいでしょう。
ヒュッゲに話を戻しましょう。照明でいえば、部屋の隅々までを明るく照らすのではなく、ほのかに明るい空間を描くのがヒュッゲといっていいでしょう。優しい光に包まれる癒しのひと時こそヒュッゲなのです。
最近の日本では田舎暮らしが注目されてきていますが、明るすぎない空間で過ごすことの安らぎが求められているのかもしれませんね。まさにヒュッゲなのです。
北欧スウェーデン、ファロ島のヴィンテージなフィッシャーマンハウスどんなことにヒュッゲを感じるかは人それぞれかもしれませんが、明るくピントの合った風景や絵画ではなく、ややぼんやりとした優しさに癒されることは珍しくないでしょう。日々の暮らしをヒュッゲの空間にしてみてはいかがでしょうか。
文:有澤 隆